キャデラック(Cadillac)の歴史

今回はアメ車を代表する「キャデラック」の歴史について紹介していこうと思います。キャデラックの歴史を遡ると実は「フォード」「リンカーン」との面白い共通点があります。

キャデラック(Cadillac)とは

キャデラックモデルA

キャデラック(Cadillac)とは、アメリカを代表する自動車メーカー “ゼネラル・モーターズ(GM)”が展開する高級車ブランド。略してキャディ(Caddy)と呼ばれることもある。歴史は古く、 第1号車が1902年10月に完成し1903年には本格的に生産が開始されている。

フォード、リンカーンとの関係性

キャデラック、フォード、リンカーン

キャデラックの元を辿ると、キャデラックは1901年11月30日にヘンリー・フォードという人物がデトロイト自動車の出資者と共に「ヘンリー・フォード・カンパニー」を創業。しかし、ヘンリー・フォードは出資者と対立し、自分の名が入ったヘンリー・フォード・カンパニーを出ていくことになる。その後、ヘンリー・マーティン・リーランドという人物が後釜となり、「キャデラック・モーター・カンパニー」が誕生する。

ヘンリー・フォード・カンパニーを去ったヘンリー・フォードは、1903年に「フォード・モーター・カンパニー」を立ち上げることになる。それが今の「フォード(Ford)」になる。

リーランドは1909年にキャデラックをゼネラルモーターズ(GM)に450万ドルで手放すが、第一次世界大戦期までキャデラックの責任者としての役割を果たした。

キャデラックを売却したリーランドは1917年に「リンカーン・モーター・カンパニー」を立ち上げるが、第一次世界大戦後は不況の影響もあり、リンカーンは経営破綻。フォード・モーター・カンパニーに800万ドルで買収される。それが現フォードの高級車ブランド「リンカーン(LINCOLN)」になる。

キャデラックの由来

キャデラック歴代エンブレム

キャデラックという名は、アメリカのデトロイトという街を開拓したフランスの探検家「アントワーヌ・ド・ラ・モス・カディヤック(Antoine de la Mothe Cadillac)」に由来する。 フランス語のカデヤックを英語読みしたものがキャデラックだ。 エンブレムもカディヤック家の紋章がベースとなっており、オランダ出身の画家ピート・モンドリアンによってアレンジが加えられた。

キャデラック初代エンブレム

十字上に区切られた中には2種類の紋章が斜めに配され、頭上には王冠が輝く。 そしてその周囲を月桂冠が囲むデザインだ。100年以上におよぶキャデラックの歴史において、 エンブレムのデザインは何度も変更されてきた。

量産型V型8気筒エンジンを発売

キャデラックV型8気筒エンジン

1910年頃のキャデラックは高級車の地位を築いていたが、4気筒エンジンを使用しており競合他社の6気筒化に乗り遅れていた。

キャデラック社内で6気筒エンジン開発案は噂されていたが、創業者ヘンリー・リーランドの息子で経営幹部であったウィルフレッド・リーランドがV型8気筒エンジンのメリットを主張し、ヘンリー・リーランドがこれを受け入れ開発が始まった。

世界初の乗用車向けV型16気筒エンジンを発売

キャデラックシリーズ452A

1930年頃、キャデラックは世界初の乗用車向けV型16気筒エンジンを発表。翌年に発売された「シリーズ452A」に搭載されている。性能は7.4リッターの排気量で、最大出力は160馬力だった。

しかし、1929年に起きた世界大恐慌により販売台数は低迷。アメリカ国内の経済が回復してきた1930年代後半には販売台数も回復し、キャデラックは大型ボディにV型8気筒やV型12気筒などの大排気量エンジンを搭載した高級車を作り続る。

キャデラックV型16気筒エンジン

しかし、1939年9月の第二次世界大戦開戦と1941年12月のアメリカの第二次世界大戦への参戦により、燃料の配給制が導入され、燃費に難があるV型16気筒エンジンも廃止されることとなった。

最も多く大統領専用車両として採用

キャデラック大統領専用車両

第28代アメリカ合衆国大統領を務めたトマス・ウッドロー・ウィルソンが第一次世界大戦の戦勝記念パレードでキャデラックのオープンカーを使いボストンまでパレードして以降、ジョン・カルビン・クーリッジ・ジュニアやフランクリン・デラノ・ルーズベルトなどが使用。

第二次世界大戦後もハリー・S・トルーマンやドワイト・デイビッド・アイゼンハワー、ロナルド・ウィルソン・レーガンやジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ、バラク・オバマ、ドナルド・ジョン・トランプ、そして2021年にアメリカ合衆国大統領に就任したジョセフ・ロビネット・バイデン・ジュニアに至るまで、長年に渡りライバルのパッカードやリンカーンと共にアメリカ合衆国大統領専用車として使用されており、最も多く大統領専用車に採用されたブランドとなっている。

現行車両(2022年6月現在)

キャデラック現行車両

2022年6月現在、日本市場ではセダンタイプの「CT5」とSUVタイプの「XT4」「XT5」「XT6」「ESCALADE(エスカレード)」の5車種が販売されている。

キャデラックジャパン公式サイト